今日は、ヒラメに寄生するちょっと変わった寄生虫、「クドア・セプテンプンクタータ」、通称ナナホシクドアについて深く掘り下げてみたいと思います。
最近のニュースによると、今月上旬、横須賀市内のホテルで飲食した約60人が、腹痛や下痢などの症状を訴える食中毒に見舞われました。市保健所の調査では、食中毒の原因としてヒラメの寄生虫「クドア」が疑われています。この事件は、クドアの影響と対策についての理解を深める良い機会となります。
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ヒラメとクドアの不思議な関係
私たちがよく食べるヒラメですが、実はアニサキスよりもクドアという寄生虫がより一般的です。クドアは非常に小さく、肉眼では見えないほど。しかし、その小ささに反して、我々の食生活に与える影響は大きいのです。
クドアによる食中毒の実態
2010年頃、日本の厚生労働省が行った調査で、このクドアが食中毒の原因としてピックアップされました。特に養殖ヒラメからの報告が多く、その数は増え続けています。養殖技術の発展によりヒラメの流通量が増加し、それに伴って刺身としての消費も増え、クドアによる食中毒の危険性も高まっています。
クドア・セプテンプンクタータの生態
この寄生虫は約10マイクロメートルの大きさで、魚類と環形動物(ゴカイやイソミミズなど)を宿主としています。寄生する際の形状は半球状ですが、環形動物に寄生する際には錨状に形を変える非常にユニークな特徴を持っています。
ヒラメの刺身とクドア食中毒
食中毒を引き起こす主な原因は、刺身を食べた際に、魚肉内のクドアの胞子を摂取することです。食後数時間で嘔吐や下痢といった症状が出ますが、ほとんどの場合は速やかに回復します。
クドアはヒラメ以外にもいる?
クドア・セプテンプンクタータ、一般にはヒラメとの関連でよく知られていますが、この寄生虫はヒラメ以外の魚類にも存在します。クドア属の寄生虫は世界中の様々な魚類に見られ、その種類は多岐にわたります。
クドアと他の魚種
- マグロやカンパチ:マグロやカンパチなどの大型魚にもクドアの種類が見られることがあります。これらの魚では、クドアによる食中毒の報告も稀にあります。
- タイ(鯛):タイなどの他の一般的な食用魚にもクドアが寄生していることがあり、食品安全の観点から注意が必要です。
- 淡水魚:一部の淡水魚にもクドア属の寄生虫が存在することが報告されていますが、ヒラメのような頻度で問題視されることは少ないです。
クドアの多様性
クドアは一つの種に限らず、多種多様な魚類に寄生する可能性があることを意味します。しかし、クドアによる食中毒のリスクは、主に生食される海水魚、特にヒラメで顕著になります。これは、ヒラメが刺身などの生食用途で広く消費されることが多いためです。
予防策について
クドアは冷凍や加熱に弱いため、「マイナス20℃で4時間以上の冷凍」や「中心温度75℃で5分以上の加熱」で不活化することが可能です。しかし、醤油やワサビ、ショウガによる即効性のある殺菌はできません。
ヒラメにアニサキスはいる?
アニサキスは、特に生食される魚介類によく見られる寄生虫で、その中でも特にヒラメに関する疑問がよくあります。では、ヒラメにアニサキスは存在するのでしょうか?
ヒラメとアニサキスの関係
- 存在の可能性:ヒラメを含む多くの海水魚には、アニサキスが寄生している可能性があります。アニサキスは、特に海水魚の消化管や内臓に寄生することが知られており、ヒラメも例外ではありません。
- 食中毒のリスク:アニサキスによる食中毒は、生または加熱不十分な魚介類を食べた場合に起こります。ヒラメは刺身として生で食べられることが多いため、アニサキスによる食中毒のリスクが存在します。
アニサキス寄生の予防
ヒラメにアニサキスがいる可能性があるため、以下の予防策を取ることが重要です:
- 適切な処理:アニサキスは冷凍によって不活化されます。生で食べる場合は、マイナス20℃で24時間以上の冷凍処理が推奨されます。
- 加熱調理:十分な加熱(中心温度75℃で1分以上)によってもアニサキスは死滅します。刺身以外の料理方法を選ぶ際には、適切な加熱が効果的です。
クドアの「かわいい」特徴
クドア・セプテンプンクタータ、またの名をナナホシクドアは、その微細な形状が「かわいい」と評されることがあります。一つ一つの胞子は6つから7つの極嚢(きょくのう)と呼ばれる袋状の細胞が集まっており、上から見ると一輪の花のような形をしています。この独特な花びら状の構造が、一部では愛らしいと捉えられることがあるのです。サイズが約10マイクロメートルと非常に小さく、横から見ると小さい三角おにぎりのような形をしています。これらの特徴が、クドアを他の寄生虫と区別し、「可愛い」と表現される理由です。
クドアの見分け方
クドアは非常に小さいため、通常の調理過程や食事中に目視での確認はほぼ不可能です。そのため、一般消費者が直接クドアを見分けることは難しいのが現実です。しかし、クドアによる食中毒を予防するためには、以下のような対策が有効です:
- 冷凍処理:クドアは冷凍に弱いため、ヒラメを「マイナス20℃で4時間以上」冷凍することで、胞子を不活化させることが可能です。
- 加熱処理:加熱にも弱いため、「中心温度75℃で5分以上」加熱することで、クドアを不活化できます。
- 信頼できる供給源:養殖ヒラメの中でも特に衛生管理が徹底されている養殖場からのヒラメを選ぶことも一つの方法です。
これらの方法により、クドアによる食中毒のリスクを減らすことが可能です。ただし、ヒラメを消費する際には、これらの対策に加えて、常に新鮮なものを選ぶことが重要です。
養殖ヒラメとクドア
特に養殖ヒラメにおいて、クドアの感染率と感染量が多いことが指摘されています。2012年のデータでは、クドア食中毒の原因食材の約6割がヒラメだったと報告されています。なぜ養殖ヒラメに多いのか、その理由はまだ完全には解明されていません。
ヒラメの刺身とクドア食中毒の経験
夏から秋にかけて、ヒラメの刺し身やマリネを食べた後に気分が悪くなった経験があれば、それはクドアによる食中毒の可能性があります。かつては原因不明の食中毒が増加の一因としてクドアが指摘されました。
クドアの特徴
クドアは約10マイクロメートルの大きさで、極嚢と呼ばれる袋状の細胞が6、7個集まって花びら状の形をしています。この極嚢の数と形状からセプテンプンクタータ(ナナホシ)と名付けられました。
クドアの潜伏期間と症状
クドアの潜伏期間は約4~5時間と短く、主な症状は下痢や嘔吐です。これらの症状は一過性で、多くの場合は発症後24時間以内に回復します。
まとめとして、クドアは、その小さなサイズと症状の一過性のために見過ごされがちですが、十分な注意が必要です。この情報がヒラメを安全に楽しむ上でお役に立てば幸いです。次回は、他の魚に寄生する寄生虫についてご紹介します。それでは、美味しいヒラメを安心してお楽しみください!